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素調について

更新日:1月3日


今回サロンの新しいロゴをお願いしたのは、Instagramで偶然作品を目にし、その美しさに一目惚れした広島の書道家Hiroさん


新しいサロン名を決めるにあたり、真綿の保管蔵だったこの建物の背景を改めて見つめ直しました。


イメージをお伝えするために調べていく中で、私自身も初めて知る「おかいこさん」のこと、そして「漆喰」のこと……。


それらは、新しい名前である「素調」という言葉に、より深い意味を授けてくれました。


「素」が持つ意味と伊達の歴史

「素調」の「素」には、素顔、ありのまま、持って生まれたまま、という意味の他に、「白」「白い絹糸」という意味があります。


ここ福島県伊達地方は古くから養蚕が行われ、かつては東北の「蚕都(さんと)」として栄えました。


当サロンの建物も明治時代には「入金真綿(いりきんまわた)」と呼ばれる良質な真綿を販売し、横浜へと送り出していた歴史があります。


「入金真綿」とは繭を引き伸ばして乾燥させた保原町独特の真綿です。白く光沢があり、柔らかく保湿に優れているのが特徴で、綿ではなく「絹」そのもの。

その形が大判小判の貨幣入れに似ていたことや、買い手が前金を出してまで競って求めたことから、その名がついたと言われています。

現在は高級真綿布団や高価な結城紬の貴重な原糸となっています。


命を紡ぐ「おかいこさん」への敬意

おかいこさんのことを調べれば調べるほど、その一生の儚さに胸を打たれました。

彼らは繭を作るためだけに生きています。


人の手がないと生きていくことができず、幼虫の時は昼夜を問わず食べ続け、そこで一生分の栄養を蓄えます。成虫になれば、一切の飲み食いもせず、立派な羽があるのに飛ぶこともありません。

ただ子孫を残すことだけにその命を捧げ、約一週間でその生涯を閉じます。


しかし成虫になれるのはほんのわずか。

ほとんどは繭を作り終えた蛹の状態で茹でられ、その命を終えます。私たちはそんな尊い存在に対して敬意を込め「おかいこさん」「お蚕様」と大切に呼んできました。

今回初めて知った成虫の姿はとても愛らしいお顔をしていました。

そして、芸術的な触角の美しさ。


その姿はWikipediaなどで検索すると今も目にすることができます。


時代を超えて繋がる「白」の美しさ

江戸時代、灯りのない生活の中で土蔵に白漆喰が使われたのは、防火や耐久性のためだけではありませんでした。わずかな月光を反射して周囲を明るく照らす「明光性」が、防犯にも非常に有効だったのだそうです。


お客様をお待ちしている時、ふと差し込む光に照らされた漆喰の壁。



その明るく清らかな白さは、施術を終えられたお客様の輝くような「白い素肌」と重なります。

地震による修繕で漆喰を塗り直した際、私は改めてこの「白」の美しさに気づかされました。


おかいこさんが紡ぐ絹、そして漆喰の白。


この場所は120年も前から「絹のような滑らかな肌と美しい白」を象徴する場所だったのです。


私が今、サロンを通じて目指している理想は既にここに存在していました。

その気づきと想いが溢れ、10周年という節目に名前を「素調」へと変更いたしました。


時代が変わっても価値の変わらない本物を、これからもずっと。


素調


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